
協会案内
会長ごあいさつ
一般社団法人日本鋼構造協会会長 緑川 光正

明けましておめでとうございます。新しい年を迎えるにあたり、本年の抱負を述べさせていただきます。
新型コロナウイルスの本格的な感染拡大からまもなく3年が経過しようとしています。当協会の事業・行事も、当初は規模縮小や中止を余儀なくされましたが、従来のスタイルに拘らない新たな試みを積極的に取り入れ環境に順応しながら、協会活動の活性化に努めてまいりました。
この間、取り組んできた第9次中期3カ年計画では、研究・開発や事業の新しいアイデアを創出する企画機能の強化を第一の戦略課題に掲げ、鋼構造のシンクタンクとして「所与の課題を解決する力」のみならず「課題そのものを設定する力」を磨くことに注力しました。その中心軸が鋼構造未来戦略小委員会であり、未来の鋼構造のあるべき姿を描くとともに、ビジョンを実現するための技術戦略について3年間にわたり検討を行ってきました。本年よりスタートする第10次中期3カ年計画の中で、その戦略を実行に移します。
新中期計画では、第一の柱である「鋼構造技術のハブ機能の強化」の中で、カーボンニュートラルへの取り組みを最重要課題としました。協会内にメーカー・ユーザー・研究者等が一体となった「(仮)鋼構造カーボンニュートラル研究会」を立ち上げ、関係団体と連携を取りながら精力的な活動を展開します。環境面での優位性を「鋼構造の新たな魅力」として位置付け、脱炭素・循環型社会の実現に向けた課題に取り組む方針です。
一方、継続課題である「国土強靭化」と「生産性向上」に関しては、社会ニーズに応え国策に直結するテーマであり、カーボンニュートラルやDX(デジタルトランスフォーメーション)との関連性を意識しながら、その取り組みを加速させたいと思います。
第二の柱は、「国際活動の強化・拡大」であり、「国際標準化の推進」と「海外発信力の強化」が重点課題です。国際標準化活動については、昨年11月にISOへ提出した「JSS規格:建築鉄骨溶接部の機械的性質の標準試験マニュアル」をベースとする国際標準案の成案化を進めつつ、次に放つ矢を考えます。このように、日本発の技術による「攻め」の標準化活動を展開し、我が国の優れた設計・施工技術とそれを支える材料・加工技術の海外展開に必要なプラットフォーム構築を推進します。今一つは、海外向け技術資料の整備や規格基準類の英文化の推進であり、その成果を英文誌Steel Construction Today & Tomorrowや協会ホームページで発信して行く計画です。
第三の柱は、「鋼構造技術基盤の強化」であり、未来の鋼構造を担う若手研究者・技術者の育成が大きな課題です。ポストコロナの中での委員会運営や鋼構造シンポジウムをはじめとする各種行事のあり方を再考し、若手の出会いや交流の場、活躍の場を創出してまいります。
新中期では、技術・標準委員会の傘下に、鋼構造の基幹要素技術である「溶接」を専門に扱う常設委員会を新設します。今後取り組むべき研究テーマの探索および課題解決に向けた調査研究活動を、意欲のある若手研究者・技術者が中心になって行うことで、人材育成・技術伝承の一翼も担います。
鋼構造研究助成事業では、この18年間で93件が採択され、若手研究者の育成に貢献しています。2009年にスタートした鋼構造技術者育成講習会は、累計で3万名の技術者に参加頂き好評を博しております。さらに、実務的な技術者資格として高い評価を頂いている土木鋼構造診断士と建築鉄骨品質管理機構を運営し、鋼構造の安全・安心と品質確保に寄与しています。
育成講習会や資格事業に関しては、現在試行中のオンライン講習等の仕組みを定着させ、地方の会員・受験者へのサービス向上に努めたいと思います。さらに、協会ホームページでは、アーカイブ機能とストレージ機能を織り込んだ新規のサービスを開始します。新中期でもコンテンツ整備等を継続して行い、会員サービスの向上と情報化社会に対応した効率的運営に取り組む所存です。
日本鋼構造協会は、輝かしい未来の実現に向け新たな一歩を踏み出します。会員の皆様、関係各界の皆様には、引き続き、協会活動へのご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(以上、年頭の挨拶より)
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