協会案内
会長ごあいさつ
一般社団法人日本鋼構造協会会長 緑川 光正
元日に発生しました能登半島地震により、被災された皆様へ謹んでお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
さて、新しい年を迎えるにあたり、昨年を振り返るとともに本年の抱負を述べさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、我々の日常を覆っていた閉塞感が和らぎ、停滞を余儀なくされた我が国経済は着実に回復しつつあります。当協会もポストコロナにおける新しい枠組みを模索しながら、協会活動のさらなる活性化に努めているところです。かかる状況のもと、当協会は昨年の4月から、「鋼構造の新たな魅力を開拓し輝かしい未来の実現に向け歩み出します」をスローガンとする第10次中期3カ年計画に移行しました。
新中期計画の重点戦略の一番目に掲げたのが、「カーボンニュートラルを踏まえた新たな技術戦略の具現化」です。環境面での優位性を鋼構造の新たな魅力として位置付け、脱炭素・循環型社会の実現に向け課題に取り組む方針です。
協会内に鋼構造カーボンニュートラル特別委員会を立ち上げ、「鋼構造の特性を踏まえた環境負荷評価方法」と「地球環境に貢献する鋼構造新技術」の検討に着手しました。「部分最適ではなく全体最適」を志向し、「未来の地球環境のために何がベストか」の視点で、「正々堂々フェアに」を信条として活動を進めて参ります。鋼構造の総力を結集し、ワンボイスで強烈かつ徹底的に取り組む所存です。
第二の重点戦略は、「国土強靭化、生産性向上、海外発信に係わる取り組みの加速」。DX(デジタルトランスフォーメーション)やカーボンニュートラルの視座を持ちながら取り組みます。技術開発におけるICT技術の重要性は年々高まり、加えてDXの本懐である「従来の常識の変革」を促進する必要があります。一方、今後およそ全ての経済活動は、環境貢献という指標で評価されるでしょう。その中で、日本の得意分野に環境技術という新たな武器を加え海外発信力を高めたいと考えております。
国際標準化については、ISOへ提案中の「JSS規格:建築鉄骨溶接部の機械的性質の標準試験マニュアル」をベースとする標準案の成案化を進めつつ、次に放つ矢を考えます。このように、日本発・世界初の技術による「攻め」の標準化活動を展開し、我が国の優れた鋼構造技術を海外へ展開するためのプラットフォーム構築を推進します。
第三の重点戦略は、「未来を担う若手の育成に係わる施策の戦略的推進」です。委員会や各種行事の運営を再考し、コロナ禍の影響で失われた若手技術者・研究者の出会い・交流の場、活躍の場を創出して参ります。
昨年から鋼構造シンポジウム等の行事は、対面を前提とする従来スタイルに戻しました。部会活動の一環であるフィールドスタディも再開させ、兵庫県の実大免震試験機(E-Isolation)の見学会には多くの若手の方に参加頂きました。一方、鋼構造未来戦略小委員会や昨年新設した鋼構造溶接技術小委員会では、いずれも意欲のある若手が中心となって次世代の技術戦略を検討することで、人材育成・技術伝承の一翼も担います。
鋼構造研究助成事業では、この19年間で97件が採択され、若手研究者の育成に貢献しています。現在、来年度実施に向け助成規模・対象の拡大を検討中です。2009年にスタートした鋼構造技術者育成講習会は、累計で3万名を超える技術者に参加頂き好評を博しております。昨年は、座学講義の約1/3をハイブリッド開催とし、地方の会員の方にも受講頂けるようにしました。さらに、実務的な技術者資格として高い評価を頂いている土木鋼構造診断士と建築鉄骨品質管理機構を運営し、鋼構造の安全・安心と品質確保に寄与しています。
育成講習会や資格事業に関しては、コロナ対策として取り入れたオンライン講習等の仕組みを定着させ、地方の会員・受験者へのサービス向上に努めたいと思います。また、協会ホームページでは、アーカイブ機能とストレージ機能を織り込んだ新規サービスを開始しました。今後もコンテンツ整備等を継続して行い、会員サービスの向上に取り組んで参ります。
日本鋼構造協会は、鋼構造の輝かしい未来の実現に向け第10次中期3カ年計画を推進して参ります。会員の皆様、関係各界の皆様には、引き続き協会活動へのご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(以上、2024年 年頭の挨拶より)
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