1998年に改正された建築基準法に関連して2000年6月に施行された施行令には、「構造耐力上主要な部分の材料」として「ステンレス鋼」が規定され、ステンレス鋼も一般の鋼材と同等に構造材として使用することができるようになりました。


表 旧法における運用との比較
 
適用 建築基準法第38条(特殊の材料又は構法) 建築基準法第37条(建築材料の品質)
鋼種 PS235-SUS304 SUS304A
SUS304N2A
SUS316A
SCS13AA-CF
建物規模 階数3以下、高さ15m以下
スパン20m以下、延べ床面積3000m2以下
(A)高さ60m以下の全ての建物
(B)高さ60mを超える建築物等
手続き @(社)ステンレス構造建築協会による
 「設計審査」と「工場認定」
A確認申請
(A)確認申請および適合性判定
(B)国土交通大臣の認定


■施行令

第三章 構造強度

第五節 鉄骨造

第64条(材料)
 鉄骨造の建築物の構造耐力上主要な部分の材料は、炭素鋼若しくはステンレス鋼又は鋳鉄としなければならない。

第67条(接合)
 構造耐力上主要な部分である鋼材の接合は、(中略)、接合される鋼材がステンレス鋼である場合は、高力ボルト接合又は溶接接合によらなければならない。(以下略)

第67条2
 構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、その部分の存在応力を伝えることができるものとして国土交通大臣が定める構造方法によるものとしなければならない。(以下略)

第八節 構造計算

第三款 許容応力度

第90条(鋼材等)
 鋼材等の許容応力度は、次の表一又は表二の数値によらなければならない。

表一
種  類 長期に生ずる力に対する許容応力度
(単位N/mm2
短期に生ずる力に対する許容応力度
(単位N/mm2















構造用鋼材 長期に生ずる力に対する圧縮、引張、曲げ又はせん断の許容応力度のそれぞれの数値の1.5倍とする。
ボルト - -
構造用ケーブル - - -
鋳鋼


第四款 材料強度

第96条(鋼材等)
 鋼材等の材料強度は、次の表一又は表二の数値によらなければならない。

表一
種 類 材料強度
(単位N/mm2










構造用鋼材
ボルト - -
構造用ケーブル - - -
鋳鋼

表二 (略)


■告示

告示第1464号
鉄骨造の継手及び仕口の構造方法を定める件

第一 高力ボルト、ボルト又はリベットによる継手及び仕口
 高力ボルト、ボルト又はリベットによる継手及び仕口は次によらなければならない。

一 (略)
二 高力ボルト摩擦接合の摩擦面は、次に定める状態としなければならない。
イ. (略)
ロ. ステンレス鋼の摩擦面は、無機ステンレス粉末入塗料塗装処理、ステンレス粉末プラズマ溶射処理等の方法によって、炭素鋼の摩擦面と同等以上の効力を有する処理を施さなければならない。

第二 溶接による継手及び仕口
 溶接による継手及び仕口は次によらなければならない。

一 構造耐力上主要な部分の溶接部は、割れ、内部欠陥等の構造耐力上支障のある欠陥がないものとし、かつ、次に定めるところによらなければならない。
イ. (略:突合せ継手の食い違いの規定)
ロ. (略:ダイアフラムとフランジのずれの規定)
ハ. (略:アンダーカットに対する規定)

二 鋼材を溶接する場合にあっては、溶接される鋼材の種類に応じ、それぞれ次の表に定める溶接金属としての性能を有する溶接材料を使用しなければならない。


告示第2464号
鋼材等及び溶接部の許容応力度並びに鋼材等及び溶接部の材料強度の基準強度

第一 鋼材等の許容応力度の基準強度
 鋼材等の許容応力度の基準強度は、次の表の数値とする。
鋼材の種類及び品質 基準強度
(単位N/mm2





構造用鋼材 SUS304A
SUS316A
235
SUS304N2A 325
ボルト A2-50 210
鋳鋼 SCS13AA-CF 235

告示第1024号
特殊な許容応力度及び特殊な材料強度を定める件

第一の三 鋼材等の支圧、鋼材等の圧縮材の座屈及び鋼材等の曲げ材の座屈の許容応力度は次に掲げるものとする。
イ.支圧の許容応力度 (略)
ロ.圧縮材の座屈の許容応力度 (表一は略)
表二
圧縮材の一般化細長比 cλ≦0.2 0.2<cλ≦1.5 1.5<cλ
長期に生ずる力に対する圧縮材の座屈の許容応力度 F/1.5 (1.12−0.6cλ)F/1.5 (1/3)(F/cλ2)

ハ.曲げ材の座屈の許容応力度 (表一は略)
表二 (荷重面内に対称軸を有する圧延形鋼などで強軸周りに曲げを受ける場合)
−0.5≦Mr≦1.0の場合(−1.0≦Mr<−0.5の場合は別途)

圧縮材の
一般化細長比
bλ≦bλy bλybλ≦1.3 1.3<bλ
長期に生ずる力に
対する圧縮材の座
屈の許容応力度
F/1.5 (1−0.4(bλーbλy)/(1.3−bλy)F)/(1.5+0.7(bλーbλy)/(1.3−bλy)) F/2.2bλ2

告示第1446号
 建築物の基礎、主要構造部などに使用する建築材料並びにこれらの建築材料が適合すべき日本工業規格又は日本農林規格及び品質に関する技術基準を定める件

第一 法第37条の安全上、防火上又は衛生上重要である部分に使用する建築材料は次に揚げるものとする。
一. 構造用鋼材及び鋳鋼
二. 高力ボルト及びボルト
三. 構造用ケーブル他
四. 鉄筋
五. 溶接材料
六. ターンバックル
七.〜(略)

第二 法第37条第一号の日本工業規格及び日本農林規格はそれぞれ、別表第一(い)欄に揚げる建築材料の区分に応じて同表(ろ)欄に揚げるものとする。
(い) (ろ)
第一第一号に揚げる建築材料(鋼材) JIS G 4321-2000
(建築構造用ステンレス鋼材)
第一第二号に掲げる建築材料(高力ボルト及びボルト) JIS B 1186-1995(摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット
JIS B 1054-1995(ステンレス鋼製耐食ねじ部品の機械的性質)
第一第五号に揚げる建築材料(溶接材料) JIS Z 3221-1989
(ステンレス鋼被覆アーク溶接棒)
JIS Z 3323-1999
(ステンレス鋼アーク溶接フラックス入りワイヤ)
JIS Z 3324-1999
(ステンレス鋼サブマージアーク溶接ソリッドワイヤ及びフラックス)