加工 |
Q1 |
ステンレスは、切断・溶接・曲げ等の加工では、普通鋼とどのような違いがありますか。 また、その対策として、どのような点に注意しなければなりませんか。 |
A |
ステンレスは、加工面から見ると、靭性が高い、熱膨張係数が大きい、熱伝導率が小さい、スプリングバックが大きい等の特徴があります。加工に当たっての注意点をまとめると下表の通りです。
項 目 |
普通鋼との相違点 |
加工上の留意点 |
切 断 |
@耐力が大きい |
普通鋼よりパワーの大きな剪断機で切断する。 |
A焼付きを起こしやすい。 |
ステンレス専用の刃物や潤滑油を使用する。 |
溶 接 |
@熱膨張が大きく、熱伝導率が小さい。 |
溶接ひずみを生じやすいので、部材の位置決めや固定を慎重に行う。また溶接入熱量をできるだけ小さくする。 |
A普通鋼と同様に不活性雰囲気中での溶接が必要である。 |
風のある屋外での溶接は極力、避ける。屋外での溶接作業をせざるを得ない場合は、風除け等で不活性雰囲気の溶接条件を確保する。 |
曲 げ |
スプリングバックがおおきい。 |
予めスプリングバック代を見込んで曲げ加工を行う。 |
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Q2 |
ステンレス構造の建物を現場施工する際、鋼構造建築物の現場施工と同じ道具や工具で作業を行ってもよいのですか。 |
A |
ステンレス構造の場合、柱等は無被覆で使用するケースが多くなると考えられます。養生部を傷めないためにクレーン等の吊りベルトはナイロン製のスリングベルト等を使用して下さい。またステンレスとじかに接触する工具のアタッチメントは、クロームメッキ等で処理したものを使用して下さい。 |
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Q3 |
ステンレスを現場で塗装するのは難しいのですか。もし、できるのであれば具体的に教えて下さい。 |
A |
現場塗装は、ステンレス表面の汚れの除去や不動態皮膜の化成処理等、面倒な作業がありますので、基本的には避けて下さい。しかし、どうしても現場塗装が必要な場合もありますので、その手順の一例を下表に示します。
手 順 |
作業の内容 |
下地処理 |
2D、2B等表面の粗度の小さい場合にはグラインダー等により、表面粗さを調整する、また付着している汚れ、油、研磨かす等をウエスやシンナー等で除去する。 |
塗 装 |
@ステンレス用の下塗り塗装を施し、十分に乾燥させる。
Aステンレス用の上塗り塗装を施し、十分に乾燥させる。 |
注)塗装条件は各塗装メーカーの塗料ごとに異なりますので、詳細は塗装メーカーへ「常乾性のステンレス用塗料」と指定した上で、お問い合わせ下さい。
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溶接 |
Q4 |
ステンレスは溶接が難しいと聞きますが、ステンレス建築構造物を建設する場合、推奨できる適当な溶接方法として、どのような方法がありますか。
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A |
現状では、被覆アーク溶接、ガスシールドアーク半自動溶接および自動溶接が使われています。ただし、屋外や現場では風等により不活性雰囲気での溶接が阻害されますので、原則的には現場溶接は行わないようにして下さい。
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Q5 |
スタッド溶接はできますか。また、スタッドボルトは入手できますか。
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A |
スタッド溶接は可能ですし、スタッドボルトも入手可能です。詳細は協会へお問い合わせ下さい。
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